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「俺、脱サラして古本屋はじめるんだ」などと友人が言えば(不幸の前兆みたいなこと言うなあ。あと、脱サラって久々に聞いた)などと思いながら笑って聞いていられるのですが、自分のこととなるとそうも言えません。古本屋としてきちんと続けていく必要がありますし、そのために役立つことなら取り組まないといけません。私にとって今、そうした取り組みの中でも重要なのが古書組合の存在です。

そもそもなぜ古本屋をはじめて神奈川古書組合に入ったのか。その前にまずは簡単に自己紹介を。
私はネット古書店「ナインブリックス」を営み、主にホラーやオカルト関連の書籍やDVDなどを扱っています。とは言っても通常の問屋などから仕入れる業種とは違って、ホラーやオカルト関連の商品が予算の限り好きに仕入れられるというわけではありませんから、特に高価買取をさせていただいています。組合へは開業と同時に加入しました。

さてそんな現在と組合加盟までを「これまでのあらすじ」風にまとめると…。
30代半ばにして生き方を変えるべく会社を退職。未経験ながら古本屋をはじめたいと考えるようになった一人の男。そんなある日、年金の手続きで区役所へ向かう途中、彼は神奈川古書会館の前を通りかかる。そこに貼り出された1枚のチラシには開業セミナーの文字。思わず足が止まった。「ここが…」。開業にあたって男には一つの悩みがあったのだ。

といったところでしょうか。もったいぶっても仕方がないので言ってしまうと、開業にあたっての悩みというのは仕入れです。自分の蔵書が多少はあるにしても一店を構えるには足りませんし、それが売れてしまえば減る一方。買取をするといっても、大手古本チェーンをはじめ他に買取をしているところはたくさんあります。そんななかゼロから買取を、しかもネットのみで始めてもそう簡単にはいきません。他の店からせどりをするにしても、あちらで1冊、こちらで2冊、ではラチがあきません。もちろん先に書いたように問屋などから仕入れられるものでもなく、どうしたものかと悩んでいたのです。

調べてみると古書組合では市場を開催して、古書店としてどこかの組合に加盟していれば参加してまとまった古本を買い付けることもできるとのこと。それなら自分にも商品を仕入れていくことができそうだし、それだけ本があればホラーやオカルト関連もそこそこあるんじゃねーの? などと思っていたところ偶然に会館の前を通りかかり、話をうかがったりしていく中で入会を決めました。
市場だけでなく、他の同業者とつながりができるというのも魅力でした。もともと私のいた業界も同業者とのつながりが非常に重要だったので、感覚的にもその重要性は理解できました。実際、加入してからは他の組合員の方々から話を聞けることが実務上でも精神衛生上でもプラスになっています。そんなこんなで入会費や組合費を差し引いても余るくらいなメリットを感じていますし、古本屋をやるならこりゃもう入るっきゃない、的な。

こう書くと何やら自分でも不安になるくらい宣伝クサくなってしまいますが、事実ここに書いたようなことから私は組合に入りましたし、その意義を実感しています。もし入っていなかったらどうだったでしょうか。おそらく今でも品揃えはほとんど増えず、実店舗もないので家族を除けばほとんど誰と会うこともなく、日中はひとりやることもなく行く末を案じて悶々としていたのではないでしょうか。こうして書くだけでも気が滅入る話です。もちろんちゃんとやっている古本屋さんすべてが組合に入っている、というわけではないでしょう。ですが、少なくともお店をやっていく初期の難易度が下がる、というのは確かだと思います。

この文章を読んでくださっている方は古本屋を始めようとしているか、始めてみたものの…、という方がほとんどでしょう。たいした時間も手間もかかりませんし、もちろん無料です。迷うくらいならまずは気軽に話を聞いてみてもよいのではないでしょうか。

ナインブリックス
http://ok9bricks.com/